中1で履修する社会科歴史的分野は、人類の起源から中世の終焉まで、日本の歴史上もっとも急激な社会構造の変化を経験した時代群を網羅します。学校のカリキュラムや地理的分野との並行授業の進度によって多少のズレはあるものの、大半の公立中学校における中1歴史の範囲と流れは、旧石器時代から室町時代末期(戦国時代の前夜)までが定期テストの主戦場となります。
この広大な範囲を攻略する鍵は、誰が実権を握り、富(土地と米)をどのように再分配していたのかという政治主体の変遷を太い一本の軸として通すことです。
まず押さえるべきは、四大文明と日本の成り立ちです。メソポタミア、エジプト、インダス、黄河の各文明で生まれた青銅器・鉄器や文字、法制度が、大陸を通じて日本列島へどのようなタイムラグを伴って波及したかを俯瞰します。打製石器を用いた狩猟・採集の旧石器時代から、土器の発明と定住化が進んだ縄文時代、そして大陸から水稲耕作と金属器が伝来して余剰生産物と貧富の差が生じた弥生時代へと移り変わります。米の蓄積が「ムラ」から「クニ」への統合を促し、邪馬台国の卑弥呼が魏へ朝貢した記録へと繋がっていきます。
続く旧石器時代から平安時代のブロックでは、権力が豪族の連合体から天皇中心の中央集権、そして貴族へと移ろいます。大和政権による古墳の巨大化、聖徳太子の政治改革、大化の改新による公地公民の推進、奈良時代の大仏造立と墾田永年私財法による貴族・寺社の荘園拡大。平安時代に入ると、桓武天皇の平安京遷都から藤原氏が娘を天皇の后にして権力を独占する摂関政治の絶頂期、そして国風文化の開花へと至ります。私有地(荘園)を守るために地方で武装した武士が急速に力をつけ、やがて平氏と源氏が中央政界へ進出する構造変化を捉える必要があります。
中1後半の最大の山場となるのが、鎌倉時代と室町時代の経緯です。源頼朝による東国での武家政権誕生、御恩と奉公による封建的主従関係、そして2度にわたる元寇(文永の役・弘安の役)がもたらした幕府財政の疲弊と徳政令の混乱。後醍醐天皇による建武の新政の失敗を経て、足利尊氏が開いた室町幕府では、南北朝の動乱、日明貿易(勘合貿易)、守護大名が権力を強める幕府の構造的弱点、そして応仁の乱を契機とした下剋上の世への突入まで、政治の主役が貴族から武士、そして民衆へと広がるダイナミズムを整理することが不可欠です。