取材の現場で多くの単身者と対峙する中で見えてきたのは、「自分は節約している」と自認している人ほど陥りやすい認知の歪みです。SNSでは「暖房を我慢してこたつと小型ヒーターで過ごしたのに電気代が1万8,000円だった」「こまめに電気を消しているのに高すぎる」といった投稿が目立ちます。
ここには行動経済学でいう「モラルハザード」と「アンカリング効果」の罠が働いています。「照明をこまめに消す」「テレビの主電源を切る」といった目に見える小さな節約行動を完遂したことで心理的な免罪符を得てしまい、実は消費電力の9割以上を占める「熱を生み出す家電(ヒーター、給湯器、エアコン)」の長時間使用に対して警戒心が薄れてしまう現象です。LED電球を1時間消しても浮くのは0.2円程度ですが、1200Wの温風ヒーターを1時間点ければ約37円が消えていきます。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
電気代のトラブルに対して、どのようなアクションを起こすべきかは住居環境と本人の生活属性によって二分されます。以下の基準で自身の状況を判断してください。
【即座に設備点検・プラン変更に着手すべき人】
- 築20年以上の木造・軽量鉄骨アパートで電気温水器を使用している単身者
- 2020年以前に契約した新電力プランを一度も見直していない人
- 冬場にセラミックファンヒーターやオイルヒーターをメイン暖房にしている人
【安易な解約や自己判断を慎むべき人】
- 現在の新電力契約に長期縛りや高額な解約違約金が設定されている人(契約書の精査が先決)
- 賃貸契約上、建物全体で一括受電契約が結ばれており、個別契約の変更が制限されている物件の入居者