屋外で目の中に虫が飛び込んできた瞬間、反射的に手で目をゴシゴシと擦ってしまう人が大半です。しかし、眼科臨床の現場において「擦る行為」は最も危険なNG行動として警告されています。昆虫の体表は硬いキチン質の外骨格や無数の微細なトゲで覆われており、擦る圧力によって角膜(黒目)や結膜(白目)に深い擦過傷(角膜上皮剥離)が生じるためです。さらに、虫が潰れて体液や毒素が眼表面に擦り込まれると、重篤なアレルギー反応や化学熱傷に似た強い炎症を引き起こします。
飛び込んだ直後の目の中に虫が入った対処法として、まずは落ち着いて以下の手順を実行してください。
ステップ1:絶対に擦らず、まばたきを繰り返す
まずは目を閉じ、自然に分泌される涙で虫が目頭へ移動するのを待ちます。上まぶたを軽く前方に引っ張りながら数回まばたきをすると、涙の自浄作用によって異物が自然に押し流されやすくなります。
ステップ2:防腐剤無添加の人工涙液で洗い流す
最も安全な目に入った虫の洗い方は、防腐剤の入っていない人工涙液(使い切りタイプの目薬など)をたっぷりと点眼し、溢れ出る液とともに虫を流し出す方法です。水道水よりも涙に近い浸透圧と成分であるため、角膜細胞への負担を最小限に抑えられます。
ステップ3:清潔な流水や洗眼器を活用する
目薬がない場合は、洗面台に張った清潔な水に顔を浸して水中でまばたきをするか、弱めの流水を目頭から目尻へ向けて優しく当てて洗い流します。この際、水道水で15分以上洗い続けると角膜上皮のバリア機能が低下するため、洗眼は1〜2分程度にとどめるのが適切な目の中のゴミの取り方です。
もしコンタクトレンズを装着している場合は、レンズと角膜の間に虫や異物が挟まって角膜を深く削り取る危険があるため、洗眼前に清潔な手で速やかにレンズを外してください。外したレンズは虫の体液やタンパク質が付着している可能性が高いため、再装着せず破棄するか徹底的な洗浄・消毒を行いましょう。