教育現場やクイズ番組で頻繁に議論を呼ぶのが、「県名と県庁所在地が違う県は全国にいくつあるのか」という問題です。視覚データメディア「47graph」などの調査報道や教育専門誌のデータを整理すると、この問いに対する答えは「16」「17」「18」「19」のいずれにもなり得ることが分かります。結論が分かれる理由は、行政区分の定義と表記ルールの違いに起因しています。
まず、純粋な「県」に限定し、漢字表記が完全に異なる自治体を数え上げると、岩手(盛岡)、宮城(仙台)、茨城(水戸)、栃木(宇都宮)、群馬(前橋)、神奈川(横浜)、石川(金沢)、山梨(甲府)、愛知(名古屋)、三重(津)、滋賀(大津)、兵庫(神戸)、島根(松江)、香川(高松)、愛媛(松山)、沖縄(那覇)の計16県が存在します。
ここに、2001年の旧3市(浦和・大宮・与野)合併で誕生した「埼玉県(さいたま市)」をどう位置づけるかで最初の分岐が生じます。音読上は同じ「さいたま」ですが、県名の漢字に対して市名がひらがな表記であるため、テストや教材の多くでは「表記が異なる自治体」としてカウントされ、合計は17県へと拡大します。
さらに、行政単位を「都道府県」へと広げた場合、「北海道(札幌市)」が加わります。北海道は「県」ではなく「道」であるため厳密な県名比較からは除外されるケースもありますが、一般的な地理教育では同一枠として扱われ、ここで18道県となります。
そして最大の論点となるのが「東京都(新宿区)」の扱いです。1991年に都庁が千代田区有楽町から新宿区西新宿へ移転して以降、東京都の条例上における都庁所在地は新宿区です。しかし、国土地理院の地図や文部科学省検定済みの小学校社会科教科書では、日本の首都としての歴史的一貫性や23特別区全体を包括する都市概念から、便宜上「東京」と表記されるケースが主流となっています。この東京都を「都名と区名が異なる」として算入するか否かによって、最終的な数が18または19へと着地します。