革靴売り場にはコインローファーのほかに「タッセルローファー」や「ビットローファー」が並んでいます。それぞれのデザインの違いとフォーマル度の立ち位置を整理しておきましょう。
まず、タッセルローファーは甲の部分に房飾り(タッセル)があしらわれたデザインです。1940年代、ハリウッド俳優ポール・ルーカスがオーダーしたことをきっかけに、米オールデン社が製品化したとされています。アメリカでは弁護士やビジネスエリートが好んで履いたことから「エグゼクティブの象徴」とされ、ローファーカテゴリーの中では最もドレス度(格式)が高く、クラシックなスーツにも馴染みやすいのが特徴です。
一方、ビットローファーは馬具の轡(くつわ)を模した金属パーツ(ホースビット)を甲にあしらった華やかな靴です。1953年にイタリアの高級メゾン「GUCCI(グッチ)」が発表し、一世を風靡しました。金属の光沢がコーディネートに色気とラグジュアリーなアクセントを加えるため、パーティーシーンやスマートカジュアルに映える一方、厳格なビジネスシーンでは派手とみなされる場合があります。
これらに対し、コインローファーは金属装飾や房飾りのない削ぎ落とされたミニマリズムを特徴とします。知的でクリーン、かつトラディショナルな佇まいを持つため、カジュアルからジャケットスタイルまで最も守備範囲が広い万能型と言えます。