都市ガス物件であるにもかかわらず、入居時にガス会社から「警報器の設置は法律上の義務ですから、こちらのリース契約書(月額330円)にサインを」と誘導されたというトラブルが後を絶ちません。現場の取材を進めると、そこには消費者の無知に付け込んだ営業トークと、責任の押し付け合いという歪んだ構造が浮かび上がります。
消費者が直面する典型的なトラブルパターンは以下の3つに集約されます。
第1に、「法的な設置義務」と「機器のリース契約」の巧妙なすり替えです。仮にプロパンガスの集合住宅で警報器の設置が法律上必須であったとしても、その機器費用を「毎月入居者がリース料としてガス会社に直接支払わなければならない」という法律は日本のどこにも存在しません。本来、建物を貸し出すための必須設備であるならば、オーナー(大家)が建物設備として自費購入・設置しておくべき性質のものです。それを「入居者の任意リース契約」という形で個別に契約させ、ガス会社が安定したストック収入を得る仕組みが長年温存されてきました。
第2に、都市ガス賃貸における虚偽説明です。法律上義務のない都市ガス物件において、開通作業員が「消防署の指導で義務化された」などと事実と異なる説明を行い、契約を迫るケースが報告されています。大手ガス会社ではコンプライアンス遵守が徹底されてきたものの、下請けの開通代行業者や一部の委託点検員の間では、依然として成約インセンティブを目当てにした強引な案内が見受けられます。
第3に、リース総額と本体購入価格の著しい乖離です。仮に月額400円(税込440円)のリースを5年間払い続けた場合、総支払額は26,400円に達します。市販されている信頼性の高い同等機種(新コスモス電機や矢崎エナジーシステム製など)がAmazonや家電量販店で10,000円〜13,000円程度で購入できる現実を鑑みれば、リース契約は「初期費用がかからない」という利点と引き換えに、2倍以上のコストを支払っている計算になります。