2人の因縁の原点は、国内最高峰のMCバトル「ULTIMATE MC BATTLE(UMB)」の舞台にあります。2000年代後半から頭角を現し、2010年・2011年と史上初となる全国大会2連覇を成し遂げた晋平太。圧倒的な押韻の固さと声量、相手の痛烈な弱点を突く泥臭いスタイルで、まさに絶対王者として君臨していました。
その絶対的な牙城に挑み、新時代を切り拓いたのが大阪代表の若きR-指定でした。2010年大会の準決勝や2011年の激闘を経て、R-指定は2012年から2014年にかけて前人未到のUMB全国大会3連覇を達成。世代交代の波を決定づけ、MCバトルにおける即興ラップの到達点を一気に引き上げました。
この時期の2人は、単なる先輩後輩という関係を超え、互いの存在によって自身のスキルを極限まで研ぎ澄まさざるを得ない「宿命の好敵手」でした。関係者の証言や当時のドキュメンタリーでも語られている通り、晋平太の圧倒的な勝負強さを打ち破るためにR-指定は言葉の精度を限界まで磨き、晋平太もまた背後に迫る若き天才の脅威を肌で感じ取っていました。この連覇王者同士の凌ぎ合いこそが、後の日本中を巻き込むフリースタイルブームの確固たる礎となったのです。