健診の心電図「異常Q波」の正体とは?無症状でも潜む危険と受診基準

健診の心電図「異常Q波」の正体とは?無症状でも潜む危険と受診基準

健診の心電図「異常Q波」の正体とは?無症状でも潜む危険と受診基準に関する詳細情報を丁寧にまとめました。専門的な情報をご確認ください。

心電図検査は、心臓が全身に血液を送り出す際に発生する微弱な生体電気を、胸部と手足に装着した電極で拾い上げて波形として記録する検査です。通常、波形は「P波・QRS波・T波」という一連の山と谷で構成され、その中で「Q波」とは、心室が興奮を始める最初期に記録される下向きの鋭い谷の波を指します。

正常な心臓でもごく小さく浅いQ波(生理的Q波)は観察されますが、幅が広く深い谷を描く波形が出現した場合、医学的には病的Q波(異常Q波)と診断されます。この現象が起きる最大の原因は、心筋細胞が血液不足によって壊死し、電気を通さなくなった「電気的窓(Electrical Window)」の形成です。電気が流れない壊死部分の反対側にある健常な心筋へと電気が遠ざかっていくため、心電図の電極からは深い下向きのベクトルとして記録され続けます。

受診者が最も困惑するのは、「これまでに胸をかきむしるような激痛を経験した覚えが一切ない」という点です。しかし、日本循環器学会のガイドラインや臨床統計が示す通り、急性心筋梗塞を起こした患者の約20〜30%は激しい胸痛を感じない無症候性心筋梗塞(Silent Myocardial Infarction)であることが判明しています。

特に糖尿病を患っている方の場合は、高血糖に伴う末梢神経障害によって内臓の痛みを感じにくくなっています。また、高齢者や女性の場合、「睡眠中に強い胃もたれや胸焼け、肩こり、奥歯の浮くような違和感としてやり過ごしていた」「風邪の倦怠感だと思い込んで横になっていた」というケースが珍しくありません。知らず知らずのうちに冠動脈の一部が詰まり、陳旧性心筋梗塞(すでに発症から時間が経過し傷痕として残った状態)へと移行していた結果、今回の健診で異常Q波として初めて可視化されたというのが真相です。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。