全国の居酒屋やスーパーで並ぶカツオですが、その品質を根底から左右するのが「どこで、どのように獲られたか」という漁法と産地の違いです。カツオ漁には大きく分けて「巻き網漁」と「一本釣り」が存在します。巻き網漁は大量に群れを捕獲するため魚同士が網の中で激しく衝突し、ストレスによる体温上昇(焼け)や身割れ、内出血が起きやすくなります。これに対して、1匹ずつ釣り上げる一本釣りかつお産地のものは、船上で即座に活け締め・急速冷却されるため、鮮度と身の弾力が桁違いに保たれます。
代表的な一本釣りの基地としては、黒潮の恵みを受ける高知県(中土佐町久礼・土佐清水)のほか、鹿児島県の枕崎・山川、静岡県の焼津、そして夏から秋にかけて戻り鰹の水揚げ基地となる宮城県の気仙沼が挙げられます。特に「土佐の一本釣り」で知られる高知の久礼港では、水揚げ後数時間以内のカツオが市場に並び、身に死後硬直が始まる前のモチモチとした弾力(現地では「ちちこ」「もち鰹」などと表現される)を味わうことができます。
もし現地へ足を運ぶ機会があるなら、絶対に訪れるべき高知県カツオのたたき名店として以下の3軒は外せません。
- 明神丸(ひろめ市場店ほか):高知を代表する一本釣り漁船直営店。客の目の前で燃え盛る藁の炎(約800〜900度)で一気に焼き上げるライブ感と、高温短時間調理によるパリッとした皮目の香ばしさは圧巻です。
- やいろ亭(ひろめ市場内):地元通や食通が「タタキの身のクオリティならここが随一」と口を揃える名店。仕入れるカツオの選別眼が極めて厳しく、絶妙な塩加減と厚切りカットで純粋な魚の旨味を突きつけてきます。
- 田中鮮魚店(中土佐町久礼大正町市場):一本釣りの本場で鮮魚店が営む食堂。店頭に並ぶ丸ごとのカツオから好みのものを選び、その場で藁焼きタタキや刺身に捌いて提供してくれます。漁師町の圧倒的な鮮度を肌で体感できる聖地です。