ネット上のまとめ記事や芸能ニュースで頻繁に目にする「CM契約社数ランキング」ですが、そこには一般にあまり知られていない業界特有の構造と、典型的な誤解が存在します。
もっとも大きな誤解は、「起用社数が多いタレント=CM収入が最も多い」という思い込みです。起用社数を伸ばすために、所属事務所が戦略的に1社あたりの契約単価を抑え、「多売方式」で露出を最大化させているケースは珍しくありません。逆に、年間契約料が8,000万円を超えるトップ俳優は、競合排除(同業他社のCMに出られない縛り)が厳格に適用されるため、結果として契約社数が5〜6社に留まることもあります。しかし、得られる総収入や稼働負荷を考慮すれば、後者のほうが圧倒的に効率的であることは自明です。
また、近年の集計基準における「WEB動画限定CM」の扱いも盲点の一つです。地上波の全国ネットCMと、特定のSNS上でのみ配信されるWEB動画広告では、契約金額も影響力も文字通り一桁異なります。単に「契約社数」の数値だけを比較しても、そのタレントが持つ真の広告価値を見誤ることになります。