東京のマルシェを面白くしているのは、一次産業の生産者だけではない。気鋭の料理人やクラフトマンたちの参入が、市場のクオリティを劇的に引き上げている。都内の有名レストランで腕を振るうシェフが、自らマルシェにブースを出し、農家から仕入れたばかりの旬の素材で限定メニューを提供する。その場で炒められるハーブの香りが、来場者の食欲を否応なしにそそる。
会場のあちこちで目につくのは、創意工夫に満ちた独自のプロダクトだ。サイズが小さく市場に出回らない「未利用魚」を使った極上のフィッシュスープ。プラントベースで作られた濃厚なヴィーガンスイーツ。近郊の小規模ブルワリーが醸造した、無ろ過のクラフトビール。ここでしか出会えない一期一会の味覚を求めて、グルメな都市生活者たちが列をなす。生産者と料理人が直接タッグを組むことで、流通のマージンを省いた高品質な「食の実験場」が形成されている。