日本プロレス界の頂点に立ちながら、なぜ彼は自らマスクを脱ぎ捨て、未知なる格闘技「修斗」の創設へと向かったのか。そこには、エンターテインメントとして昇華されたプロレスへの深い愛憎と、打撃・投げ・極めを融合させた究極の競技を立ち上げたいという純粋な狂気があった。
過密日程の合間を縫って技の体系化を進め、安全かつ過酷なルールを一人で考案していった日々。この命懸けの試行錯誤こそが、後に世界を席巻する総合格闘技(MMA)の原型を生み出すことになった。日本修斗協会の立ち上げに至るプロセスは、既存のプロレス界からの孤立と、スポーツとしての革新を同時に進める波乱に満ちた物語だったのだ。