野外で耳にする猛禽類の声は、種類ごとの生態や骨格構造を色濃く反映しています。野鳥観察の現場で役立つ猛禽類の鳴き声聞き分け方を把握しておくと、双眼鏡で姿を捉える前に上空の気配を正確に識別できるようになります。
森の王者と呼ばれるオオタカの鳴き声の特徴は、「キッキッキッキッ」または「ケッケッケッ」という機関銃のような連続音です。繁殖期の巣の周囲では「クエッ、クエッ」とやや濁った声でパートナーと交信します。一方、深山幽谷に棲むクマタカの鳴き声は「ピィエー」「ピョーッ」と、まるで高音の角笛を吹き鳴らしたような澄んだ単音を響かせ、山間に反響させます。
鷹と鷲の鳴き声比較を行うと、身体の大きなオオワシやオジロワシは「カッカッカッ」「キャッキャッ」と太く重厚な低音の混じる鳴き方をし、タカ類よりも腹に響く重量感を持ちます。また、飛行速度で頂点に立つハヤブサと鷹の鳴き声の違いも見逃せません。ハヤブサは「キィキィキィキィ!」と極めてピッチの高い金属的な絶叫を高速連射し、オオタカよりもさらに鋭角的な音質で空中戦の緊迫感を漂わせます。
営巣期に巣の中で親を呼ぶ鷹の雛の鳴き声は、「ピィーピィー」「ヒィーヒィー」と細く甘えたトーンで鳴き続け、親鳥の給餌本能を刺激します。これが外敵の接近に直面した鷹の威嚇時の鳴き声になると一変し、「ギャーッ!」「ギャラララ!」と喉の奥を震わせる威圧的な濁音になり、同時に嘴(くちばし)を激しく打ち鳴らすクラッキング音(カチカチ音)を伴って侵入者を撃退しようとします。