2017年10月、日本初上陸を果たしたALFRED TEA ROOMは、青山店とルミネエスト新宿店を皮切りに国内展開をスタートさせました。日本国内でのマスターライセンスを取得し運営を手がけたのは、「WIRED CAFE」などを展開する飲食大手のカフェ・カンパニー株式会社です。当時のセレブカルチャーと本格志向のティードリンクが融合したスタイルは、オープン直後から瞬く間に若い世代やトレンドセッターの心を掴みました。
しかし、順風満帆に見えた展開の裏で、いくつかの構造的要因が重なり、最終的に全店舗の閉店および日本撤退へと至りました。その決定打となったのは以下の3つの要素です。
第一に、第3次タピオカブームの急激な減速が挙げられます。2018年から2019年にかけてピークを迎えたタピオカ市場は、無数の競合ブランドが乱立したことで急速に過密状態に陥りました。ブームが一過性の消費トレンドから日常的な定着期へ移行する過程で、単価設定の高いティースタンド業態全体が客数維持の壁に直面しました。
第二に、2026年以降の新型コロナウイルス感染拡大による都市型商業施設への打撃です。ルミネエスト新宿1階という立地は、1日あたり数十万人が行き交うJR新宿駅東口改札直結の超一等地であり、坪あたりの賃料負担も相応に高額でした。外出自粛やインバウンド需要の消失により、ターミナル駅特有の圧倒的な流動客に依存していたビジネスモデルが大きな打撃を受けました。
第三に、ブランドのポートフォリオ再構築とライセンス契約の満了です。運営会社のカフェ・カンパニーは、社会環境の激変に伴い自社ブランドの集約とデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる経営方針へ舵を切りました。高コストな海外ライセンス店舗の維持よりも、国内自社業態へのリソース集中を選択したことが、ALFRED TEA ROOMの日本撤退という決断に直結したのです。