土俵上に並んだ両者の姿は、まさに強烈なコントラストを描いていた。120kg前後の研ぎ澄まされた鋼の肉体を持つ千代の富士貢に対し、小錦八十吉は200kgを遥かに超える規格外の体躯を誇っていた。その体重差は実に100kg以上。現代の大相撲を見渡しても、これほど極端な体格差でありながら互いに最高峰の地位でしのぎを削った例は極めて稀である。
小錦の桁外れの突き押しをいかにして食い止め、自らのスピードと得意の型である上手投げや前まわしに持ち込むか。千代の富士が見せた戦略的な立ち回りや瞬発力は、体格差に悩む後進の力士たちにとっても永久のバイブルとなった。日本相撲協会の歴史においても、これほど緊張感とスピード感に満ちた重量級対軽量級の対決は他に見当たらない。