振り返れば、世紀末のメディア環境は過ちを犯した。複雑な統計データをセンセーショナルに切り取り、相関関係をあたかも因果関係であるかのように報じた過去の社会科学ノンフィクションや一部の報道は、一般社会に根深い偏見を植え付ける結果となった。それは科学ジャーナリズムにおける痛恨の敗北であった。
だからこそ、現代のジャーナリストたちには高度なリテラシーが求められている。現在展開されている優れた科学ジャーナリズムは、研究の資金源、アルゴリズムのバイアス、サンプル集団の偏り(欧米系データへの偏重)を冷徹に検証し、安易な二元論を徹底的に排除する。科学の発展に伴うリスクとベネフィットを客観的に可視化することこそが、メディアの再生に向けた唯一の道筋となっている。