1999年4月18日、Zepp Tokyoでのステージを最後に福田明日香さんはモーニング娘。を卒業しました。インディーズシングル「愛の種」を手売りで5万枚完売させ、1998年1月に「モーニングコーヒー」でメジャーデビュー。その年の暮れには第40回日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞し、NHK紅白歌合戦に初出場するという、シンデレラストーリーの頂点に立っていた最中の電撃脱退でした。当時発表された公式理由は「学業専念(高校進学)」でしたが、ファンの間では長年にわたり様々な憶測が飛び交い続けました。
時を経て後年のインタビューや自身のSNS、インスタライブなどで福田さん本人が語った回想によれば、その決断の背景には単なる進学問題だけではなく、「急激な環境変化と人間関係の摩擦」が決定打として存在していました。当時まだ中学生だった福田さんにとって、大人たちが動かす数億円規模のビジネスの現場と、連日深夜に及ぶ過酷なスケジュールは、心身のキャパシティを遥かに超えていたのです。
さらに、グループ内の力学も多感な少女を追い詰めました。エースとして脚光を浴びる安倍なつみさんと、歌唱力の要として対比された福田明日香さん。年齢もバックボーンも異なる少女たちが「落選組からの再起」という極限状態のプロジェクトで集められた結果、控え室でのコミュニケーションや信頼構築には見えない亀裂が生じていました。福田さんは後年、脱退理由の本音について配信等で問われた際、赤裸々に当時の精神的限界と対人関係の複雑さを吐露しています。守られるべき義務教育過程の少女が、保護膜のないまま芸能界の濁流に投げ込まれた結果の「生命維持のための脱出」こそが、最速卒業の本質だったと言えます。