サリヴァンは作中、執事のヴォルフラムに抱きかかえられて移動するか、特製の車椅子を用いて生活しています。彼女が自力で歩行できない理由は、生まれつきの病気や怪我ではなく、幼少期に施された「纏足(てんそく)」によるものでした。
纏足とは、幼い頃から足を布で固く縛り骨を変形させて成長を止める、かつて中国などに実在した風習です。作中においてこの凄惨な処置を命じた首謀者は、サリヴァンの実母であるプロフェッサー・サリヴァンでした。天才的な知能を持つ娘が村の外へ脱走し、世界の真実に気づく物理的な可能性を完全に奪うため、実の母親が我が子の骨を砕き歩行能力を奪ったのです。
執事のヴォルフラムは、元々はドイツ軍から監視役兼教育係として派遣された軍人でした。しかし、無垢なジークリンデと日々を過ごす中で本物の情愛が芽生え、軍の非人道的な命令とジークリンデへの忠誠心の間で激しく葛藤。最終的には自らの命を賭してドイツ軍を裏切り、サリヴァンを救い出す道を選びました。