メディアやSNS(X、Threads、知恵袋)に寄せられる当事者の手記やインタビューを丹念に取材していくと、特有の「あるある体験」と日常の戸惑いが浮かび上がってきます。
「街を歩いているとき、素敵な男性にも素敵な女性にも無意識に目を奪われて視線が忙しい」というライトな共感エピソードがある一方で、人間関係においては切実な悩みが渦巻いています。ある20代後半の当事者女性は、手記の中で次のような葛藤を打ち明けています。
「同性と付き合っている時は『レズビアンなんだね』と決めつけられ、異性と付き合い始めると『なんだ、普通のストレートに戻ったんだ』と片付けられる。私の心はずっとバイセクシャルのままなのに、隣にいる相手の性別だけで自分の本質を上書きされてしまう感覚が何より苦しい」
このように、「付き合う相手によってラベルを貼り替えられるストレス」は、バイセクシャル当事者のほぼ全員が直面する共通の壁です。また、周囲の友人から「男女両方が守備範囲なら、出会いのチャンスが2倍あって得だね」と軽率に言われ、傷つくケースも後を絶ちません。選択肢が2倍なのではなく、悩む局面や直面する偏見が2倍になるというのが現場の実態です。