全国公募展や学生向けの書道コンクールにおける百花繚乱の出品数は、年間を通じて上位に位置します。しかし、審査員の講評や指導者たちの証言を総合すると、入賞ラインに乗る作品と予選落ちする作品の間には、明確な技術的断絶が存在します。
公募展審査員を務めるベテラン書家は、選考現場のリアルな実態について次のように指摘します。
「一次審査で真っ先に外されるのは、『繚』の旁(つくり)が肥大化して右側に倒れ込んでいる作品です。糸偏を小さく抑えようとするあまり、右側の『羽』や『小』の収まるスペースがなくなり、行の中心軸が右へ蛇行してしまう例が後を絶ちません。また、墨継ぎを『百』の後で行わず、『繚』の途中で行って線が濁ってしまうケースも目立ちます」
高評価を得る作品は、例外なく「墨継ぎのタイミング」が計算されています。「百」でたっぷりと墨を含ませ、「花」で滑らかに広げ、「繚」の細密な線で墨を絞り出し、最後の「乱」で鋭い渇筆を残す——この一連の流れが鑑賞者に心地よいドラマ性を感じさせます。