伊勢神宮外宮の深奥に位置するこの宮の正式な呼称は多賀宮(読み方:たかのみや)です。「たがのみや」と読まれることもありますが、神宮司庁の公式呼称では「たかのみや」と濁らず発音します。高倉山(たかくらやま)の尾根に位置し、高い場所にある宮という原義がその名の由来とされています。
外宮に数ある別宮(正宮に次ぐ尊い社殿)の中で、多賀宮は外宮別宮の第一位として最高位の格式を誇ります。御祭神は、外宮正宮に祀られる食と産業の守護神・豊受大御神の豊受大御神荒御魂(とようけのおおみかみのあらみたま)です。
神道において、神の霊魂には穏やかで恵みをもたらす「和御魂(にぎみたま)」と、物事を動かし切り拓く活動的で時に荒々しい威力を示す「荒御魂(あらみたま)」の二面性があると捉えられます。正宮には和御魂が、多賀宮には荒御魂が祀られており、この構造が祈願の内容に決定的な役割を果たしています。平安時代の『延喜式』神名帳にもその由緒が記されており、千数百年にわたり国家と人々の変革の節目を支えてきた由緒正しき歴史を有しています。