Aoビルの高層階に位置していたテラス席は、東京でも指折りの特等席だった。眼下に広がる表参道のケヤキ並木と、遠くに広がる東京のスカイライン。ウィーンの伝統建築を模したクラシカルな手すりに囲まれながら、心地よい風を感じるひとときは、まさに都市のオアシスと呼ぶにふさわしいものだった。
春には新緑の柔らかい光を浴びながらのブランチ、秋には黄金色に染まる並木を眺めながらの午後のティータイム。夜になればキャンドルの灯りがテーブルを照らし、都会の夜景を背景にワイングラスを傾ける大人たちの姿があった。オープンエアでありながら決して騒々しくならず、凛とした品格を保ち続けたテラスの存在は、東京のオープンテラス文化のベンチマークとなった。