全国的に見れば、昭和から平成にかけて乱立した大型観光ドライブインは軒並み姿を消すか、縮小を余儀なくされている。オンラインショッピングの普及とツアーバス旅行の減少がその主因だ。しかし壽城は、その逆風を真正面から跳ね返した稀有な事例といえる。
生き残りの鍵となったのは、圧倒的な「現場感」と徹底した地域密着だ。地元米子の市民にとっては、冠婚葬祭の引き出物を選び、休日に家族でソフトクリームを食べに来る生活の延長線上にある場所。観光客にとっては山陰カルチャーの凝縮されたエントランス。この二面性が空間に血を通わせている。作り手の顔が見える工房の熱気、売り子の威勢のいい声、香ばしい焼き菓子の煙。画面越しでは絶対に再現できない臨場感がここにはある。