なぜ人間は、憎んでいる相手とでも協力できるのでしょうか。現代の社会心理学では、これを「上位目標(Superordinate Goal)」の効果として説明します。
心理学者シェリフが行った有名な集団実験(ロバース・ケイブ実験)でも実証された通り、激しく対立する2つのグループであっても、「双方の力を合わせなければ絶対に解決できない共通の危機(例:飲料水タンクの故障など)」に直面すると、敵意を一時棚上げして驚異的なチームワークを発揮します。
またゲーム理論の観点でも、共通の破滅を回避するための「協調解」の選択は極めて合理的です。ただし、この呉越同舟戦略を現代のプロジェクトで実践する際には、成功する条件と避けるべき条件が存在します。
互いの価値観が合わない相手とも、明確な共通ゴールさえあれば最高のパフォーマンスを出せる――これこそが、数千年の時を超えて孫子が現代人に授けてくれる現実的なリーダーシップの真髄です。