料理本を開くと必ずと言っていいほど書かれている「切ったごぼうは水にさらしてアクを抜く」という工程。果たしてごぼうのアク抜きをしないとどうなるのでしょうか。結論から言えば、健康への害は一切ありません。ごぼうに含まれるアクの正体は、毒素ではなく「クロロゲン酸」をはじめとするポリフェノール類です。
ごぼうを切った後にボウルへ張ったアク抜きの水が茶色になる理由は、細胞が傷ついたことでポリフェノールが酵素(ポリフェノールオキシダーゼ)によって空気に触れ、酸化して水に溶け出したためです。つまり、水が茶色く濁れば濁るほど、活性酸素を除去する抗酸化成分や豊かな旨味成分がごぼうから逃げ出している証拠にほかなりません。
日本食品標準成分表や各種調理実験の知見によれば、ごぼうを10分以上水に浸けた場合、水にさらすことで栄養のうち水溶性ポリフェノールが約30〜40%流出し、特有の芳醇な土の香りや甘みも著しく減退します。これがまさにごぼうのアク抜きをしすぎるデメリットです。渋みやえぐみを取り除いて白く仕上げる必然性がない日常の料理であれば、長時間の水さらしは栄養面でも味わい面でもマイナスに働きます。