息子の事業承継を語る上で欠かせないのが、花畑牧場の会社としての財務体力と事業ポートフォリオの劇的な変化です。2000年代後半に巻き起こった「生キャラメル」の熱狂から現在に至るまで、同社は数度の経営危機と構造改革を経験してきました。
全盛期には年商100億円を超え、東京をはじめ全国の主要百貨店に行列を作った生キャラメル。しかし、ブームの終息と拡大路線の反動から、直営店の大量閉鎖や人員整理を余儀なくされた時期がありました。そこで田中義剛氏が下した決断が「チーズへの全面シフト」と「業務用OEM製造への転換」でした。
現在、大手コンビニエンスストアのスイーツコーナーに並ぶカッサータや、大手ピザチェーン・ファミリーレストランで採用されているラクレットチーズやブッラータチーズの中には、花畑牧場の工場で生産されたものが数多く存在します。派手なタレントプロモーションを抑え、食品加工メーカーとしてのインフラを固めたことこそが、次世代である息子へと引き継ぐべき「強固な経営基盤」の正体です。