なぜセペダは地球の裏側まで黒崎さんを追い詰め、凶行に及んだのか。フランス検察の捜査資料が浮き彫りにしたのは、恋愛感情とはかけ離れた「病的ともいえる独占欲と自己愛憤怒」でした。
二人は2014年後半、筑波大学に留学中だったセペダと学内で出会い、交際を開始しました。しかしセペダの異常な束縛や嫉妬深さから関係は急速に悪化し、黒崎さんが渡仏した2016年秋には完全に破局を迎えていました。新たな地で自立した人間関係を築き、新しいパートナーと前向きに歩み出していた黒崎さんに対し、セペダは強烈な恨みと支配への渇望を募らせていきます。
セペダは渡仏直前の2016年9月、動画サイトに「彼女はルールを守らなければ代償を払うことになる」という異様な警告動画を非公開で投稿。さらにフランス到着後、黒崎さんに接触する直前の行動記録からは、衝動的な犯行とは到底考えられない冷酷な準備が判明しています。
- 燃料用ポリタンクと可燃性液体(シンナー/ホワイトスピリット)の購入(遺体損壊または焼却目的と推定)
- 塩素系漂白剤スプレーの購入(犯行現場となった学生寮内の血痕やDNA除去目的)
- マッチの購入(放火・遺棄の補助目的)
法廷で検察官が「傷つけられたプライドを修復するために、彼女を自分の意のままにするか、さもなければ消し去るかという極端な二者択一に走った」と断じた通り、動機の根底にあったのは相手を一人の人間として尊重しない自己中心的な支配欲でした。