社会現象を巻き起こした『あまちゃん』の放送終了後、能年玲奈と所属事務所レプロエンタテインメント(以下、レプロ)の関係は急速に冷却化していきました。表舞台での華々しい成功とは裏腹に、現場では極めて深刻な意識の乖離が生じていたことが、当時の週刊誌報道や関係者の証言から明らかになっています。
対立の核心にあったのは、マネジメント方針に対する不信感と過酷な労働環境です。当時の報道によると、連日連夜の過密スケジュールにもかかわらず、本人の手取り月給は約20万円台と極めて低水準に抑えられており、必要な生活費を工面するために家族からの送金に頼っていた時期すらあったと伝えられています。また、本人が強く希望していた映画やドラマの出演オファーを事務所側が本人の意向を確認せずに断っていた疑念が浮上し、タレント本人とマネジメント陣との間のコミュニケーションは完全に断絶していきました。
そうした孤立無援の精神状態にあった彼女を支えたのが、デビュー当時からの恩師である演技指導者の存在でした。2015年1月、彼女はこの演技指導者を取締役に迎えた個人事務所「三毛&カリントウ」を設立。これが事務所側に事前の承諾なく行われたことで、レプロ経営陣は激怒しました。一部の週刊誌では「洗脳騒動」としてセンセーショナルに報じられ、事務所のコントロールを離れた勝手なスタンドプレーであると猛烈なバッシングが展開される事態となったのです。
彼女自身は後にインタビューなどで「自分の作品に対する責任を持ち、表現者として純粋に演技と向き合いたかった」と吐露していますが、旧態依然とした専属マネジメントシステムに依存していた当時の芸能界において、所属タレントが権利を主張して個人会社を立ち上げる行為は、業界の秩序を乱す「反逆」とみなされました。