凄惨な事件や事故が発生した現場は、その後にどのような道を辿るのでしょうか。現在の状況と取り壊しに関する追跡調査を行うと、貸主や不動産会社がとる典型的なパターンが浮き彫りになります。
1. マンション名のリネーム(改名)によるネット検索逃れ
最も頻繁に行われるのが、建物の外壁を塗り替えてマンション名を全く別の名称に変更する「名称ロンダリング」です。事件当時の名称で検索されても物件が特定されないようにする手法であり、不動産ポータルサイト上の掲載データだけでは過去の事故履歴に気づきにくくなります。
2. 建物解体・更地化からの新築建て替え
凶悪事件の現場となった一戸建てやアパートの場合、建物を完全に取り壊して更地にし、駐車場や新築アパートとして再開発するケースが多々あります。建物を新築すれば部屋としての瑕疵はリセットされたように見えますが、土地自体の登記情報や土地履歴には記録が残ります。近隣住民への聞き込みや閉鎖登記簿の確認を行わない限り、真実を見抜くことは困難です。
3. 「短期入居者(サクラ)」を使った告知義務消滅の工作
過去に横行した悪質な手口として、「1人目の入居者には告知義務があるが、2人目以降は告知義務が消える」という解釈を悪用し、不動産関係者や社員を短期間だけ形式的に入居させて告知義務を消滅させようとするロンダリングが存在しました。現在の国土交通省ガイドラインでは、形式的な入居を経たとしても事案から3年以内であれば告知義務が継続すると厳格化されていますが、依然としてグレーな運用を試みる業者がゼロではない点に警戒が必要です。