実写版の予告編が解禁された当初、一部のSNSでは「戸愚呂弟の筋肉はフルCGのアニメーションであり、俳優本人は顔を貸しただけではないのか」という憶測が飛び交いました。しかし、これは明らかな誤解です。
実際の制作現場において月川翔監督やアクションチームが徹底したのは、「実在する生身の役者の重量感と熱量をベースにする」という哲学でした。アクションシーンの大部分は、綾野剛自身がワイヤーアクションや打撃の初動を演じ、スタントコーディネーターと共に極限まで身体を酷使して撮影されています。CGチームはその生身のアクションから得られた「質量」「筋肉の緊張」「床を踏み込む力」を正確にトラッキングし、その上にデジタルな筋肉組織をレイヤリングしていったのです。
もし完全なフルCGでゼロから制作していれば、どれほど美麗であってもキャラクターはどこかゲーム的な軽さを帯びてしまいます。綾野剛が現場で実際に息を切らし、滝藤賢一がグリーンバックの中で血管を浮き上がらせて叫んだからこそ、戸愚呂兄弟は画面越しに強烈な「生命感」と「狂気」を放つことができたのです。