「なぜフィリピンで日本人ばかりが事件に巻き込まれるのか」という疑問に対し、多くの人は「現地の治安が極端に悪いから」と考えがちです。しかし、現地取材や犯罪統計を精査すると、そこには「日本人が日本人を狙う」という特異な犯罪エコシステムが存在することが分かります。
日本人が標的となる背景には、大きく分けて3つの構造的要因が横たわっています。
- 1. 銃器調達の容易さと「安価な殺人代行」の存在: フィリピンでは非合法な改造銃(パルタック)を含め銃器が容易に流通しており、数万ペソ(日本円で十数万円程度)で請け負うプロの殺し屋が存在します。日本国内で人を殺害することは極めて高いリスクを伴いますが、現地では「金さえ払えば簡単に手を下せる」環境が悪用されてきました。
- 2. 日本人同士の金銭・詐欺・裏社会トラブルのアウトソーシング: 被害者の多くは、旅行者というよりも現地で事業を展開していたり、投資話を持ちかけられたり、あるいは日本国内での追及から逃れてきた人物です。反社会的勢力や半グレ集団が、国内で解決できない金銭トラブルや口封じのために現地のヒットマンを雇う構図が定着しています。
- 3. 「無防備な現金文化」と現地感覚の乖離: 在フィリピン日本大使館が「安全最優先」を繰り返し呼びかけている通り、マニラ首都圏では短期間に複数の日本人強盗被害が集中して発生することがあります。日本特有の「治安の良さ」の感覚を引きずり、夜間の不用意な単独行動や多額の現金の持ち歩き、歓楽街での警戒心の欠如が致命的な隙を生んでいます。