3歳前の記憶はなぜ消える?脳科学が暴いた幼児期健忘の真相と最新研究

3歳前の記憶はなぜ消える?脳科学が暴いた幼児期健忘の真相と最新研究

3歳前の記憶はなぜ消える?脳科学が暴いた幼児期健忘の真相と最新研究についての疑問解決ガイドをお届けします。

幼少期の記憶を遡ろうとしたとき、多くの大人は3歳から4歳あたりで分厚い壁にぶつかります。一般的に、幼児期健忘は何歳から生じるのかという問いに対して、認知心理学のデータは「3歳から3歳半以前の記憶がほぼ完全に抜け落ち、7歳頃までの記憶も断片的になる」という明確な境界線を示しています。

ここで重要なのは、小さな子どもに記憶力がないわけではないという点です。実際に2歳や3歳の子どもを観察すると、数か月前の旅行や楽しかった出来事を驚くほど詳細に話してくれます。つまり、幼児期にも日々の体験を覚える「エピソード記憶」の機能自体はしっかりと働いています。

それにもかかわらず、成長するにつれてそれらの記憶は次々と失われていきます。心理学者パトリシア・バウアーらの追跡調査によると、子どもは5歳から7歳頃にかけて急速に過去の記憶保持率を落とし、大人が持つような永続的な記憶構造へと入れ替わることが判明しています。子どもの記憶はいつから残るかという境界線は、単に「覚える力」の有無ではなく、「保持し続けるシステム」がいつ完成するかによって左右されているのです。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。