ヒューズの国葬シーンにおいて描かれたロイ・マスタングの言葉は、日本のエンタメ史に残る屈指の名場面として愛され続けています。
墓前でひとり佇むマスタングに対し、側近のリザ・ホークアイ中尉が「雨など降っていません」と告げた際、マスタングは静かに返します。
「いや 雨だよ」
軍人として、そして国家錬金術師として涙を見せることが許されないマスタングが、頬を伝う涙を隠すために紡いだ哀しき嘘でした。イシュヴァール殲滅戦という凄惨な地獄を共に生き延び、「この国のトップに立ち、理不尽な命令を出さない国に変える」と誓い合った2人。ヒューズは自らが表舞台に立つ野心を持たず、「俺はお前をトップに押し上げるために下から支える」とマスタングに未来を託していました。
また、ヒューズという男の魅力を決定づけているのが、生前に残した数々の名言です。
「惚れた女と家庭持って普通に暮らすなんて、どこにでもある幸せだ。だが極上の幸せだ」
「娘だけじゃない、妻も自慢だ!」
「祝い事はみんなで分け合ったほうが楽しいだろ?ようこそヒューズ家へ」
殺伐とした軍国主義の世界観において、彼の存在は人間性や平穏な日常の象徴でした。名優・藤原啓治氏の温もりと色気、そして軽妙さを兼ね備えた演技は、ヒューズの命の重みを何倍にも際立たせ、視聴者の胸を締め付けました。