ハウス食品における家庭用デザートの歴史は、1960年代の「プリンミクス」や「ゼリエース」のヒットに端を発します。当時、これらのお湯で溶かして冷やし固める粉末デザートは洋菓子が高級品だった日本の食卓に大きな革命をもたらしました。しかし、1970年代半ばに入ると、ハウス食品のデザート開発経緯は「さらに短時間で、火も使わず、子どもが一人でも安全に作れる本物志向のデザート」という未踏の領域へと舵を切ることになります。
開発陣が着目したのは、当時普及が進んでいた冷蔵庫と毎日の食卓に欠かせない存在となっていた「牛乳」でした。牛乳を注ぐだけで瞬時に固まり、なおかつ生のフルーツのようなフレッシュな食感を閉じ込めたレトルトパウチデザート――この前代未聞のコンセプトこそがフルーチェの原点です。
気になるフルーチェの名前の由来は、英語の「フルーツ(Fruit)」と、イタリア語でデザートや甘いお菓子を意味する「ドルチェ(Dolce)」を掛け合わせた造語です。「果物本来の美味しさを楽しめる本格的なドルチェを家庭で」という開発陣の情熱が込められています。
フルーチェ初代パッケージ(昭和51年発売)は、当時の洋風志向を色濃く反映した温かみのあるイラストと、果実のみずみずしさを強調したデザインで登場しました。発売初年度から爆発的なヒットを記録し、昭和の家庭における「手作りおやつ」の常識を鮮やかに塗り替えたのです。