伊藤俊人さんの名前を語る上で欠かせないのが、1990年代から2000年代初頭にかけて世に送り出した数々の大ヒットドラマです。特に『ショムニ』シリーズで演じた満帆商事の人事課長・野々村健太郎役は、彼の代名詞となりました。高橋克実さん演じる寺崎人事部長との「腰巾着コンビ」によるテンポの良い掛け合いや、庶務二課のOLたちに翻弄されながら見せる情けない表情は、作品に欠かせない極上のスパイスでした。
また、三谷幸喜氏脚本の『古畑任三郎』シリーズでは、古畑をサポートする鑑識の桑原技官役を好演。優秀でありながらどこか頼りなく、古畑の気まぐれに振り回される独特の立ち回りは、わずかな登場時間でも強烈な印象を視聴者に残しました。主役を引き立てながら自らも確固たる個性を放つ演技スタイルは、まさに職人芸と呼ぶにふさわしいものでした。