有馬温泉を語る上で欠かせないのが、まったく異なる2つの源泉「金泉(きんせん)」と「銀泉(ぎんせん)」の存在です。旅行者のレビューや口コミでも「どちらに入るべきか」「肌触りはどう違うのか」という疑問が頻出しますが、両者の特性を把握せずに漫然と入浴すると、温泉の効果を活かしきれないばかりか、激しい湯あたりを起こす原因となります。
現場での観察と入浴医学の観点から導き出される重要なポイントは、「入る順番」です。金泉は海水の約1.5倍から2倍という極めて高い塩分濃度を誇り、肌に塩分の皮膜を形成して放熱を防ぐ「熱の湯」と呼ばれます。そのため、最初に金泉に入ってしまうと、その強力な皮膜によって、その後に訪れる銀泉の微細な炭酸ガス成分やミネラルの吸収が阻害されてしまいます。
最も理にかなった入湯シークエンスは、「まず刺激の少ない銀泉で毛穴を開き、肌を滑らかに整えた後、金泉に浸かって保温の蓋をする」という流れです。また、有馬本温泉金の湯の営業時間は朝8時から夜22時までと長いため、日中のピーク時(14時〜17時)の混雑を避け、早朝や夕食後の隙間時間を狙うのがスマートな立ち回り方です。