物語の主役であるチルチル(Tyltyl)とミチル(Mytyl)は、貧しい木こりの家に生まれた幼い兄妹です。クリスマスイブの夜、裕福な家の子どもたちが豪華なケーキを食べる様子を窓から羨ましそうに眺めていた二人の前に、魔法使いのおばあさん(妖精ベリリウンヌ)が現れ、病気の娘のために「幸福をもたらす青い鳥」を探してほしいと旅を依頼されます。
しっかり者で冒険心の強い兄チルチルと、兄を頼りにしながらついていく健気な妹ミチル。この二人のキャラクター造形には、人間の持つ純粋な好奇心と恐れ、そして成長のプロセスが色濃く反映されています。道中では「光」「パン」「水」「火」「犬(チロー)」「猫(チレット)」といった日常の事物や動物たちが擬人化され、物質や自然の本質と対話しながら旅路を進めます。
気になる「チルチル」「ミチル」という名前の由来ですが、フランス語圏における愛称や語感をベースにしたメーテルリンクによる創作とされています。北欧やゲルマン系の古名に見られる語根や、親しみを込めた響きを持つ「Tyl」を反復・変形させたもので、特定の神話上の神や歴史上の英雄を指す言葉ではありません。名もなき一般的な子どもたち、すなわち「私たち人間そのものの象徴」として命名された背景があります。