映画『リング』を観終えた観客が劇場で耳にしたのは、おどろおどろしい鎮魂歌ではなく、軽快な打ち込みビートと浮遊感のあるシンセサイザーが織りなす極上のダンスミュージックでした。なぜ中田秀夫監督は、恐怖の絶頂であるエンディングに「天国(HEAVEN)」を冠する楽曲を据えたのでしょうか。
サビ前後の歌詞とその和訳を検証すると、この楽曲が描いている本質が見えてきます。
【歌詞の一部抜粋と日本語訳】
"Oooh... Feels like 'HEAVEN'"(ああ、まるで天国にいるみたい)
"狂おしい ほどに 抱きしめて"
"Oooh... Feels like 'HEAVEN'"(ああ、まるで天国にいるみたい)
"どこまでも 続く この夜に"
歌詞全体が表現しているのは、怨念や呪いではなく、「激しい愛の渇望と、日常の平穏・快感への回帰」です。映画の凄惨なラストシーンの直後、エンドロールでこの楽曲が流れることにより、観客は「映画という悪夢の檻」から「現実世界の光」へと引き戻されるカタルシス(浄化作用)を得る構造になっていました。