数億円から数十億円という広告費は、並大抵の予算規模ではありません。それにもかかわらず、日米のトップ企業がこぞって大谷選手を起用し続ける背景には、3つの決定的な理由が存在します。
第一に、「ターゲット層の圧倒的な広さと購買転換力」です。一般的なアスリートのファン層はスポーツ好きや特定世代に偏りがちですが、大谷選手の場合は未就学児から80代・90代のシニア層まで、老若男女を完全に網羅しています。しかも「大谷選手が使っているから自分も試してみたい」という、直接的な購買意欲を喚起するパワーが異常なほど高いのが特徴です。
コーセーの「コスメデコルテ」がその最たる例です。1本1万円を超える高級美容液に大谷選手を起用した結果、それまで美容液と無縁だった30代〜50代の男性客がカウンターへ押し寄せ、女性客のリピートと合わさって全国的な品薄現象を引き起こしました。伊藤園の「おーいお茶」でも、彼が日常的に愛飲しているという一次情報が北米やアジアの消費者に浸透し、欧米市場における日本茶のプレゼンスを一気に押し上げる起爆剤となりました。
第二に、「グローバル市場へのフリーパス」です。日本企業がアメリカをはじめとする海外へ進出する際、莫大なローカル広告費と認知獲得の壁にぶつかります。しかし、大谷翔平という世界共通言語をアンバサダーに据えることで、ドジャースタジアムのバックネット広告や現地メディア露出を通じて、瞬時に世界最高水準の信頼性を担保できます。国内と海外で別々のタレントを立てる必要がなく、トータルで見れば極めて効率的な投資となるわけです。