ネットやSNS上には、ヘアケアに関する極端な情報や誤解が氾濫しています。科学的根拠に基づき、代表的な3つの盲点を解き明かします。
誤解①:「ノンシリコン製品こそが正義であり、シリコーンは髪に悪影響を与える」
シリコーン(ジメチコンやアモジメチコンなど)は生体適合性が高く、毛髪表面の摩擦を極限まで低減させる安全なコーティング剤です。ブロー時の180℃近い高熱や日常のブラッシング摩擦からキューティクルを物理的に守るためには、適度なシリコーン配合のコンディショナーやトリートメントが不可欠です。問題はシリコーンそのものではなく、洗浄不足による過剰蓄積にあります。
誤解②:「サロンの髪質改善トリートメント効果は、市販のトリートメントを長時間置けば代用できる」
サロンで行われる本格的な髪質改善トリートメントは、グリオキシル酸やレブリン酸といった酸性架橋成分を熱アイロン(160℃〜180℃)の脱水縮合反応によって毛髪内部の乱れたアミノ基と強固に再結合させる化学施術です。市販のインバストリートメントを長時間塗布しても毛髪構造そのものを再架橋することはできません。長時間の放置はむしろキューティクルをふやけさせ、内部成分の流出を招くリスクがあります。
誤解③:「アウトバストリートメント(洗い流さないタイプ)があればインバスケアは不要」
インバストリートメントとアウトバストリートメントは、作用する環境が根本的に異なります。お風呂場でのインバスケアは水分で膨潤した毛髪深層に成分を届けるのに対し、タオルドライ後のアウトバストリートメント(ミルクやオイル)は、ドライヤーの熱から毛髪を保護し、乾いた後の外気湿度変化から髪を守る役割を持ちます。両者は代替関係ではなく、役割をリレーする補完関係です。