火のないところに煙は立たないと言われますが、大学の評判に関しては「誤解と認知の歪み」が煙を立ち上らせることが多々あります。工学院大学の評判を精査すると、「恥ずかしい」と囁かれる背景には構造的な3つの理由が存在します。
第一の理由は、世間一般における知名度の非対称性です。工学院大学は1887年創立の「工手学校」を起源とする130年超の歴史を持つ名門ですが、文系学部を持たない純粋な理工系単科大学に近い構成をとっています。総合大学である日東駒専(日本大学・東洋大学・駒澤大学・専修大学)のようにテレビ中継される駅伝や甲子園などの露出が少なく、理系業界に関わりのない一般家庭や文系受験生には「工学院」という名称から専門学校や職業訓練校を連想されてしまうケースが少なくありません。この「世間受けの弱さ」が、事情を知らない層から過小評価される一因となっています。
第二の理由は、入学者の初期意識に潜む学歴コンプレックスです。工学院大学は国公立大学(東京工業大学、電通大、農工大など)や、早慶上理、芝浦工業大学の併願校として選ばれるケースが極めて多いポジションに位置します。そのため、不本意入学となった学生の一部が、入学当初の春先にSNSや匿名掲示板で自虐的に「こんな大学に来るはずではなかった」「周りに知られるのが恥ずかしい」と不満を書き込み、それがデジタルタトゥーとして検索エンジンに蓄積されていく構図があります。
第三の理由は、過酷なカリキュラムによる「きつい・ついていけない」という学生の悲鳴です。同校は技術者育成に妥協がなく、1年次から実験・演習、製図、プログラミング課題が容赦なく課されます。推薦入試枠等で基礎学力がやや不足したまま入学した学生が講義についていけず、留年危機に直面した際に発する「やめとけ」といった泣き言が、外部から「評判の悪い大学」と誤読されている側面も見逃せません。