では、具体的にどの段階に至ったらクリニックのドアを叩くべきなのでしょうか。皮膚科医が推奨する手のひらほくろ皮膚科受診目安は、極めてシンプルに体系化されています。
- 即座に受診すべき危険サイン:短期間(数週間〜数ヶ月)で明らかに拡大している、直径が6mmを超えている、輪郭が毛羽立ち周囲に墨汁が滲んだようになっている、病変部からじくじくと出血や滲出液がある。
- 1〜2ヶ月様子見して良いサイン:ボールペンの先ほどの極小サイズ(1〜2mm)、直前に強い圧迫や打撲の心当たりがある、輪郭が整っており色調が一様な赤黒さである。
受診先は、美容外科や一般的な内科ではなく、必ず日本皮膚科学会認定の「皮膚科専門医」が常駐する医療機関を選択してください。診断は前述の通り、光を当てながら病変を数十倍に拡大観察する非侵襲的なダーモスコピー検査から行われます。痛みを伴う生検(皮膚を切り取る検査)をいきなり実施することはまずなく、数分の目視検査で大半の鑑別がつきます。
もし病変が前がん病変や切除が望ましい母斑と判断された場合、手のひらほくろ除去手術は「外科的切除縫合」が標準治療となります。手のひらは日常的に強い力が加わる部位であるため、レーザーによる焼灼治療は再発リスクや病理組織検査ができないデメリットから推奨されません。メスで病変を完全にくり抜き、病理検査に提出して悪性細胞の有無を顕微鏡レベルで確定させる手法が、安全性において最も信頼されています。保険適用の切除手術であれば、3割負担で数千円から1万5千円前後の費用設定が一般的です。