ネット上には「大人になってから鼻が低くなった」「逆に鼻先が丸く大きくなった」という体験談が数多く存在します。成長期を過ぎた成人の鼻が変化する背景には、オカルトではなく明確な加齢現象が存在します。大人になってから鼻が変わる理由の正体は、顔面骨の骨吸収と軟骨を支える支持靭帯の弛緩です。
頭蓋骨は加齢とともに縮小し、特に鼻の土台となる「梨状口(鼻の骨の空洞部分)」は年齢を重ねるにつれて周囲の骨が吸収され、外側へ広がっていきます。土台となる骨が痩せることで鼻根部が沈み込み、さらに鼻先を構成する大鼻翼軟骨を支える靭帯が伸びることで、鼻先が徐々に下垂して「魔女鼻」のように見えたり、小鼻が横に広がったりする現象が生じます。
一方で、SNSを中心に広がる「鼻を高くする方法自力」と銘打ったマッサージやノーズプッシュトレーニングについては、冷静な見極めが必要です。「マッサージを続けたら鼻筋が通った」と語るユーザーの多くは、鼻の周囲(上唇鼻翼挙筋や側頭筋周辺)に滞っていたリンパ液や老廃物が排出され、一時的なむくみが取れたことによる視覚的変化に過ぎません。
人間の鼻の形態は、上部3分の1が硬い「鼻骨」、下部3分の2が柔軟な「外側鼻軟骨」および「大鼻翼軟骨」で構成されています。成人の軟骨に対して外から物理的な圧力を手指で加えたとしても、骨や軟骨格そのものが再形成されて恒久的に高くなることは医学的にあり得ません。過度な摩擦はメラニン色素の沈着を招き、鼻の頭を黒ずませる要因にもなり得ます。