「ウリハッキョ(私たちの学校)」と呼ばれるこの校舎に足を踏み入れると、まず耳に飛び込んでくるのは、子どもたちが屈託なく交わす流暢な朝鮮語(ウリマル)と関西弁の日本語です。校内に掲示された時間割や行事予定表を見ると、日本の文部科学省が定める学習指導要領に準拠した国語(日本語)、算数・数学、理科、社会、英語といった主要科目が網羅されています。その上で、民族のルーツを学ぶ朝鮮語や歴史・地理、伝統音楽(チャンゴやカヤグム)、民族舞踊の時間が時間割に組み込まれています。
教育関係者や授業参観に訪れた外部の教育学者の証言によると、授業の進行は極めて現代的です。児童・生徒1人につき1台のタブレット端末が配備され、デジタル教科書やプログラミング教育が日常的に取り入れられています。特に言語教育においては、小学校低学年から日本語と朝鮮語のバイリンガル教育を徹底し、中級部(中学校相当)では本格的な英語教育を加えた「トリリンガル育成」に注力しています。神戸という国際港湾都市の風土も手伝い、卒業生が将来グローバルなビジネスや国際機関で活躍できる素養を育む方針が明確に打ち出されています。
かつて批判の対象となった政治指導者の肖像画や過度な思想教育については、2000年代以降の教科書改訂や教育課程の見直しを経て大幅に変化しました。現場の教員は「私たちが教えているのは特定の体制への盲従ではなく、日本で生まれ育つ子どもたちが自身のアイデンティティに誇りを持ち、他者と共生するための教養です」と胸の内を明かします。神戸朝鮮初中級学校の教育内容は、時代とともに確実にアップデートを遂げています。