事態を重く見た政府も動きを見せている。国土交通大臣を務めた斉藤鉄夫氏の主導のもと、観光庁は「数」から「質」への転換を強く打ち出した。従来の訪日客数のみを追求する基本方針を改め、地域住民の満足度や環境保全を重視する指標の導入が進められている。
政府が閣議決定した観光立国推進基本計画では、一部の有名観光地に集中する旅行者を地方へ分散させる周遊ルートの整備や、オーバーツーリズム対策のための実証事業への資金支援が明記された。だが、地方への誘客が成功すれば課題が解決するわけではない。受け入れ態勢が整っていない地方都市に人が押し寄せれば、第二、第三の悲劇を生むリスクをはらんでいる。