わずか数立方メートルの密閉されたアクリルケース。風もなく、室温と湿度が完璧にコントロールされた実験環境において、プラズマクラスターイオンが一定の菌やウイルスを減少させることは科学的に実証されている。問題は、私たちが生活する現実の部屋がアクリルケースではないということだ。
20畳の広々としたリビングには、ドアの開閉による気流の乱れがあり、エアコンの風が吹き抜け、絶えず人が行き交う。放出されたイオンが漂い、ターゲットとなる浮遊物質に到達する前に消滅してしまうケースも少なくない。実空間における希釈効果と時間の壁――これこそが、「メーカーの実験結果」と「消費者のリアルな体感」との間に生じる決定的な乖離の正体である。