従来のリテーナー製作において最大のネックとなっていたのが、粘土のような印象材を口内に詰めて行う型取り作業であった。不快感や嘔吐反射を伴うだけでなく、型取り時の微妙なズレや石膏模型の収縮によって、完成品にミクロ単位の誤差が生じることが避けられなかった。
しかし、最先端の口腔内3DスキャナであるiTeroエレメント(iTero Element)の導入が、この臨床プロセスを根本から覆した。カメラを口内で滑らせるだけで、毎秒数千枚の光学画像を撮影し、歯列全体の精密な3Dデジタルデータをわずか数分で生成する。このデータが直接製造工場へ送信されるため、アナログな型取りに伴う誤差は完全に排除される。
デジタル処理された正確な歯型データをもとに、ミリ単位の誤差もなくレーザーカットされるリテーナーは、歯肉線にピッタリとフィットする。装着時の違和感や擦れによる痛みが劇的に軽減されるのは、このデジタルワークフローの賜物と言える。