インターネット上の言説や若年層のコメントにおいて、「昭和の曲はコード進行が単純で、演歌的なコブシばかり」という誤解が散見されることがあります。しかし、これは音楽理論的にも完全な誤謬です。
昭和歌謡のマスターピースを手掛けた筒美京平、大瀧詠一、細野晴臣、林哲司といった巨匠たちは、米国のモータウンサウンド、フィリー・ソウル、ブラジルのボサノバなどを徹底的に研究し、極めて複雑なテンションコードや転調を緻密に組み込んでいました。一聴するとキャッチーで口ずさみやすいメロディーの土台には、西洋音楽の高度な理論と和の情緒が奇跡的なバランスで融合しています。この「聴きやすさと構造的複雑さの共存」こそが、何十年経っても色褪せない耐久性の正体です。