株式会社主婦の店さいちの名を全国区に押し上げたのは、テレビ東京系のビジネスドキュメンタリー番組『カンブリア宮殿』をはじめとする数々のメディア露出だ。大手スーパーが価格競争と規模の拡大にしのぎを削る中、創業者の佐藤啓二氏と、惣菜の味を極め抜いた佐藤澄子氏の夫婦が貫いてきたのは、まさにランチェスター戦略そのものと言える「局地戦」の徹底だった。
大資本に対抗するため、あえて店舗網を広げず、地域の小さな市場に経営資源を集中投下する。特に惣菜部門への注力は凄まじく、売上構成比で言えば一般的なスーパーマーケット事業の基準を遥かに超える数字を叩き出している。競合他社が既製品の仕入れやコスト削減に走る中、さいちは「家庭の味の再現」に愚直なまでにこだわり続けた。全国の同業者や商工会がこぞって店内に視察へ訪れる理由は、単なるヒット商品の珍しさではなく、地方中小店舗が生き残るための本質的な解がここにあるからだ。