劇中で見せた山本耕史の圧倒的な存在感は、徹底した準備と独自の解釈から生まれたものだ。日頃からストイックな筋力トレーニングで知られる彼だが、今回演じた川井という男は、単なる肉体派ではない。夜の街に溺れ、欲望とストレスに苛まれながらも社内政治を生き抜こうとする、生々しいリアリティを纏ったビジネスマンである。
山本は撮影前、あえて身体の引き締め方や佇まいを細かく調整し、エリートの傲慢さと内面に潜む危うさを全身から滲み出させた。追い詰められた人間が見せる呼吸の乱れや目線の泳ぎ、汗ばむ肌の質感に至るまで、画面越しに伝わる生理的な感情を計算し尽くして表現。その狂気すら漂う役作りが、観客の視線を釘付けにした。